漫才やコントのネタを見たり、爆笑トークを聞いたりした時、大きな笑いに隠れて、ついついスルーしてしまいがちになる笑いというものが、結構あります。もちろんそれも、演者、語り手が練りに練って盛り込んだものです(たまに無意識の場合もありますが…)。
そういった、観客や視聴者が消化し切れなかった「笑いの塊」をもう一度胃袋に戻して、じっくり反芻してみようというのが、このコラムの企画意図です。まず取り上げてみたいのは、先日の「R-1ぐらんぷり」で優勝した佐久間一行が見せた、独創的ながらも幅広い層に受け入れられたネタ「井戸のお化け」について。
「♪井戸の中からじゃなくて 井戸自体がオレっさ」というフレーズが全てを表わす、呆れるくらいに明るいミュージカルナンバー。
8人中8番目の登場順だったにもかかわらず、他の出演者とも一切ネタがかぶらなかった斬新さが、観客にも審査員にも大好評でした。
4分弱の間、つねに観客の予想を裏切る展開を続け、ただただ笑っているうちにエンディングを迎えるというシンプルながらも不思議なネタ。見終わっていちばん不思議に思うのが「なぜ『井戸のお化け』なんだろう?」ということでは。
古くは「番町皿屋敷」のお菊さんから、最近では「リング」の貞子まで、井戸から出てくる幽霊は数々ありました。でも、井戸からお化けが出てくるという例は意外とないんですね。
ただ、「イドの怪物」というものなら、一部ではかなり有名な存在だったりします。もともとは1956年に公開されたSF映画「禁断の惑星」に登場した怪物で、人間の潜在意識、自我(イド)そのものが怪物化して人間を襲うというストーリーです。
当時、子供向け中心だったハリウッドSFの中にあって、心理学的なテーマを扱い、全世界のSFファンを夢中にさせました。日本でも筒井康隆、手塚治虫らが、このテーマを作品に織り込んできました。
佐久間一行がSF好きかどうかは判りませんが、「イド自体がオレっさ」っていうのは、まさにオリジナルのテーマと合致してます。そういった観点から、あのコントを見直すと、また新たな魅力を発見することができるんじゃないでしょうか。
そういった、観客や視聴者が消化し切れなかった「笑いの塊」をもう一度胃袋に戻して、じっくり反芻してみようというのが、このコラムの企画意図です。まず取り上げてみたいのは、先日の「R-1ぐらんぷり」で優勝した佐久間一行が見せた、独創的ながらも幅広い層に受け入れられたネタ「井戸のお化け」について。
「♪井戸の中からじゃなくて 井戸自体がオレっさ」というフレーズが全てを表わす、呆れるくらいに明るいミュージカルナンバー。
8人中8番目の登場順だったにもかかわらず、他の出演者とも一切ネタがかぶらなかった斬新さが、観客にも審査員にも大好評でした。
4分弱の間、つねに観客の予想を裏切る展開を続け、ただただ笑っているうちにエンディングを迎えるというシンプルながらも不思議なネタ。見終わっていちばん不思議に思うのが「なぜ『井戸のお化け』なんだろう?」ということでは。
古くは「番町皿屋敷」のお菊さんから、最近では「リング」の貞子まで、井戸から出てくる幽霊は数々ありました。でも、井戸からお化けが出てくるという例は意外とないんですね。
ただ、「イドの怪物」というものなら、一部ではかなり有名な存在だったりします。もともとは1956年に公開されたSF映画「禁断の惑星」に登場した怪物で、人間の潜在意識、自我(イド)そのものが怪物化して人間を襲うというストーリーです。
当時、子供向け中心だったハリウッドSFの中にあって、心理学的なテーマを扱い、全世界のSFファンを夢中にさせました。日本でも筒井康隆、手塚治虫らが、このテーマを作品に織り込んできました。
佐久間一行がSF好きかどうかは判りませんが、「イド自体がオレっさ」っていうのは、まさにオリジナルのテーマと合致してます。そういった観点から、あのコントを見直すと、また新たな魅力を発見することができるんじゃないでしょうか。