1960年代後半、日本を席巻したコント55号の勢いに、待ったをかけたのがご存知ザ・ドリフターズでした。一時代を築き、国民的人気を誇ったドリフだけに、結成の経緯からコント作りの舞台裏まで、事実関係についてはこちらも詳しい資料が、文章、映像等で残されています。
当事者、関係者による記録、社会風俗として世相と絡めた時評、そして土曜8時にブラウン管の前で夢中になって見ていた子供たちの思い出などは、確かにあちこちで頻繁に目にします。ただ、他のコントグループと違い、その魅力や面白さについての客観的評価となると、不思議なことにほとんど見当たりません。
「8時だョ!全員集合」をはじめ、ドリフの人気を支えていたのは子供たちだったのは事実。それだけに当時の識者は、子供への影響うんぬんについては言及しても、なぜそれだけ子供から支持されたのかは無視していたようです。
そこに、大人のファンが多かったクレイジーキャッツとの大きな違いがありました。というわけで、数十年遅れではありますが、今さらながらドリフターズの面白さについて分析してみたいと思います。もちろん、筆者も子供真っ只中であり、何も考えず夢中でテレビにかじりついていた世代ですが、当時の記憶をたどりつつ、できるだけ冷静に論じるつもりです。
「全員集合」開始以前にも、一定の人気を集めていたドリフでしたが、土曜8時に1時間の生放送をメインで受け持つことは、かなりの大勝負でした。しかも裏番組は、コント55号の「世界は笑う」。子供にも人気のあるバラエティであり、そこへ同ジャンルで切り込むことは、通常考えられないことでした。
いかりや長介著「だめだこりゃ」によれば、事前のプランは各地の公会堂を舞台にした生放送ということだけだったとか。そこに、毎回大掛かりなコントのセットを作り、屋台くずしで盛り上げるという基本コンセプトが盛り込まれたといいます。
当時、大掛かりなセットのコメディといえば「てなもんや三度笠」シリーズでした。「全員集合」のセットはそれを遥かに上回る規模の大掛かりなもの。それが長屋だったり、アフリカの秘境だったり、お化け屋敷だったりと毎回全く違う設定なだけに、現場の苦労は並大抵のものではなかったのでは。
しかし、ぼんやりした小学生だった筆者の記憶では、大変申し訳ないのですが、大掛かりなセットに驚いたり目を引き付けられた覚えはありません。何しろ何も分からないガキですから、毎週毎週セットが崩れていると、それが当たり前のことと思っちゃうんですね。
ただし、それは小さい画面(しかも白黒だったり)で見ていた子供の印象であって、公会堂で生の舞台を見たちびっ子たちは、たちまち興奮状態に陥ったことでしょう。あれだけ広い会場が一体となった歓声(「志村~、うしろ~」とかね)は、番組にとって最上級の効果音であったことは間違いありません。(今回は少し長くなりそうな予感が…)
当事者、関係者による記録、社会風俗として世相と絡めた時評、そして土曜8時にブラウン管の前で夢中になって見ていた子供たちの思い出などは、確かにあちこちで頻繁に目にします。ただ、他のコントグループと違い、その魅力や面白さについての客観的評価となると、不思議なことにほとんど見当たりません。
「8時だョ!全員集合」をはじめ、ドリフの人気を支えていたのは子供たちだったのは事実。それだけに当時の識者は、子供への影響うんぬんについては言及しても、なぜそれだけ子供から支持されたのかは無視していたようです。
そこに、大人のファンが多かったクレイジーキャッツとの大きな違いがありました。というわけで、数十年遅れではありますが、今さらながらドリフターズの面白さについて分析してみたいと思います。もちろん、筆者も子供真っ只中であり、何も考えず夢中でテレビにかじりついていた世代ですが、当時の記憶をたどりつつ、できるだけ冷静に論じるつもりです。
「全員集合」開始以前にも、一定の人気を集めていたドリフでしたが、土曜8時に1時間の生放送をメインで受け持つことは、かなりの大勝負でした。しかも裏番組は、コント55号の「世界は笑う」。子供にも人気のあるバラエティであり、そこへ同ジャンルで切り込むことは、通常考えられないことでした。
いかりや長介著「だめだこりゃ」によれば、事前のプランは各地の公会堂を舞台にした生放送ということだけだったとか。そこに、毎回大掛かりなコントのセットを作り、屋台くずしで盛り上げるという基本コンセプトが盛り込まれたといいます。
当時、大掛かりなセットのコメディといえば「てなもんや三度笠」シリーズでした。「全員集合」のセットはそれを遥かに上回る規模の大掛かりなもの。それが長屋だったり、アフリカの秘境だったり、お化け屋敷だったりと毎回全く違う設定なだけに、現場の苦労は並大抵のものではなかったのでは。
しかし、ぼんやりした小学生だった筆者の記憶では、大変申し訳ないのですが、大掛かりなセットに驚いたり目を引き付けられた覚えはありません。何しろ何も分からないガキですから、毎週毎週セットが崩れていると、それが当たり前のことと思っちゃうんですね。
ただし、それは小さい画面(しかも白黒だったり)で見ていた子供の印象であって、公会堂で生の舞台を見たちびっ子たちは、たちまち興奮状態に陥ったことでしょう。あれだけ広い会場が一体となった歓声(「志村~、うしろ~」とかね)は、番組にとって最上級の効果音であったことは間違いありません。(今回は少し長くなりそうな予感が…)