又吉直樹×せきしろの第二句集『まさかジープで来るとは』のサイン&握手会が、先日、新宿の書店で開催されました。200人限定のところ、前日には定員が埋まってしまったようで、人気の高さがうかがえます。

サイン会前に行われた囲み取材に登場した又吉は、多忙なスケジュールの中、少し疲れ気味に見えました。ひょっとしたら、あれが普段の状態なのかもしれませんが(笑)。

一問一答の口調も、芸人らしいテンションではないものの、例え平凡な質問であっても、その都度しっかり考えた上で答えてるようでした。芸人仲間からは「暗い」とからかわれることが多いものの、女性ファンからみれば、それって大きな魅力なのかもしれません。

まず「どんな時に句を思いつくのか?」という質問が出ましたが、「いつも何かしら感じているので」という返しに思わずシビレてしまいました。芸人の言うセリフじゃないって(笑)。

そんな思いの中からピースのネタも組み立てていくそうですが、中には「舞台に掛けてもこれは受けへんやろな」と思いつつ、どうにも可愛く思うフレーズがあり、それを表現するのに「自由律俳句」という形式が、しっくり来たとのこと。確かに、一つ一つの句は声に出して笑えなくても、脳内でニヤリとしてしまうものばかり。

確かに、お客さん全員が脳内で笑っても、舞台はスベったような感じになるんですよね。これって何とかならんものかと、筆者も長年年思ってたことでもあり、強く共感してしまいました。


収録されている句の中でいちばんのお気に入りは、という質問に対して挙げたのは

「こんな大人数なら来なかった」

という一句。誘われて仕方なく行ったら、結構人が集まっていて、これだったらわざわざ自分が顔出す必要なかったと思いながらも、帰るに帰れず最後までいるという姿を詠んだもの。誰もが共感できる名句だと思います。

ただ、最後に「相方の綾部さんからは、どんな感想が返ってきましたか?」という問いに対しては「基本的にアイツは字が読めませんから」と返し、芸人トークも十分できるトコを見せつけました。俳人・又吉直樹としての今後の活躍はもちろんですが、一見、噛みあわなさそうなピースの2人が作り出す絶妙な化学反応に、これからも期待大です。